chapter 6 太陽と風に抱かれて

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彼が杏奈を見つけると温かな笑みを返した 強い日差しが彫りの深い彼の目に 影を落としたものだから ココから見ると目だけ黒く見える そして無表情の彼が杏奈の横にやってきて 無理やり椅子をねじ込んだものだから 慌てて杏奈の横の男子学生が横にずれて 大和の座るスペースを作った それにつられて全員の椅子が横にずれた 彼は杏奈の横にドカッと座り彼女の椅子の背に 腕を回して青年達をギロリと睨んだ その態度はまるで杏奈は自分のものだと 牽制しているようだった 「ね・・・ねぇあなた・・・何になさいます? ここのガーリックシュリンプがとても 美味しかったのですよ」 気まずい空気をなんとかしようと 杏奈は慌てて大和にメニューを見せた 「それをもらおう」 大和はメニューなど目もくれず 青年達を睨みつけながら言った 途端に青年達は委縮し 仕事場に戻らないといけないと言い去って行った その様子がどうにもこうにもキクエはおかしいようで 終始クスクス笑っていた
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