7628人が本棚に入れています
本棚に追加
彼が杏奈を見つけると温かな笑みを返した
強い日差しが彫りの深い彼の目に
影を落としたものだから
ココから見ると目だけ黒く見える
そして無表情の彼が杏奈の横にやってきて
無理やり椅子をねじ込んだものだから
慌てて杏奈の横の男子学生が横にずれて
大和の座るスペースを作った
それにつられて全員の椅子が横にずれた
彼は杏奈の横にドカッと座り彼女の椅子の背に
腕を回して青年達をギロリと睨んだ
その態度はまるで杏奈は自分のものだと
牽制しているようだった
「ね・・・ねぇあなた・・・何になさいます?
ここのガーリックシュリンプがとても
美味しかったのですよ」
気まずい空気をなんとかしようと
杏奈は慌てて大和にメニューを見せた
「それをもらおう」
大和はメニューなど目もくれず
青年達を睨みつけながら言った
途端に青年達は委縮し
仕事場に戻らないといけないと言い去って行った
その様子がどうにもこうにもキクエはおかしいようで
終始クスクス笑っていた
最初のコメントを投稿しよう!