chapter 1 血の繋がり

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「とにかく彼はとてもハンサムで魅力的な事は事実よ そしてビジネススーツのセンスも抜群! 使っている香水もカルバンクラインの エタニティ―でいやらしくないわ 」 「香水のセンスは年齢に出るわよね」 今や佐奈とクルミは杏奈の社長の 男性的部分に対する評価に興味津々だ 「それに月に1度は必ず散髪するので だらしなく襟足が伸びていることなど一度もないし 散髪する日は第三土曜日ね 土曜日の午後に駅前の「barber小林」の駐車場に 社長のアストンマーティンが止まっているのを何度も 目撃されているの スタイリストの担当は山田さん これも目撃情報が上がっているわ」 さらに淡々と言う 「それに彼の下着はすべて黒で統一されているわ とても懸命な判断ね 商談で和室など靴を脱いで上がらないと いけない場所もあるでしょう? そのためよ、靴下は同じメーカーで同じ色 それなら片方失くしても困らないわ 私は何度も彼がシャツをズボンに直す時に 彼の下着を見ているけどボクサーパンツの黒ね なので彼はご自分の事はめんどくさがりだけど 頭は良いわ」 「パンツは・・・・黒・・・と・・・」 佐奈は感心してため息をつき クルミはふんふんとメモを取り出した 杏奈のおしゃべりは調子づきさらにギアを上げる   「コーヒーはアメリカンのブラックしかダメよ 一度以前に他の秘書がモカを出したら8割残っていたわ でもそれを口に出す人ではないの それに社員が持ってきたお土産は おかきは食べるけどクッキーなどは召し上がらないわ これらから推測されて彼は甘いものはきっと苦手よ」 ・・・・・ .:*゚:.。: ボソッ・・・・ 「探偵になれるな・・・・」 この会話の間 パーテーションで仕切られた 隣の個室にいる男がボソッとつぶやいた 先日自分の秘書に接待で紹介されたこのフグ屋の料理が この男はすっかり気に入ってしまっていた あまり関西では置いていない地方の焼酎の 種類が豊富なのが以外でよかった 焼酎好きの難航を示していた 取引相手ともこのおかげでなんとか上手く 良い商談に持ち込めた 深夜遅くまで営業をしているのもあって それからというものの 男は度々一人でこの店を訪れる事にしていた 普段はいつもの3階のVIP用の特別個室を使うのだが あいにく今日は予約をしないで気まぐれに 入店したものだからVIP席は空いていなく 今日はおひとり様の男は いつものVIP席ではなく1階の大広場の掘り ごたつに4人がけのパーテーションで 仕切った大衆席を選んでお一人様鍋を堪能していた とにかく今ハッキリしていることは 自分の会社の第一秘書課サポートチームの連中は 噂をしている張本人の安部大和が隣の部屋に いることはちっとも知らないという事だ
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