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「それと奥様が秀さんに
山百合が咲いている所を教えてほしいって
今度の慈善団体の会をうちのガーデンプールで
やるからその時にお花でいっぱいにしたいんですって」
秀樹が顔を輝かせた
「そんなのお安い御用さ!
なんなら午後からでも軽トラで
奥様と一緒に山に入って沢山摘んでくるよ」
健三が不快気に眉をしかめる
「・・・この島のご当主の奥方が
あまり家の従業員と親しくなりすぎるのは
感心せんな
ご当主様の奥方には、当主の奥方として
ふさわしい振る舞い方があるはずだ 」
「たとえば?」
久美子がぶっきらぼうに答えた
秀樹が腕を組んで考える
「う~ん・・・・と
たとえば?買い物とか?
なにかの雑誌で読んだけどセレブは
パーティーなどで同じ服は二度と着ないそうだぞ!
旦那様の財力をみんなに自慢するためだそうだ!」
「あとは毎週のように美容院にネイルサロン?
たしかに世のお金持ちのご婦人は
そういう軽薄な生き方で満足してる人もいると思うけど
でも・・
うちの奥様は日本のサラリーマンの普通のご家庭で
ご家族とずっと一緒に暮らしてて
たっぷりの愛情に包まれていらしたんですよ
ですから今はお寂しくて一緒に家の事を
あれこれしてくれる相手を求めてるのよ!
それと・・・夫をね 」
「夫ならちゃんといるぞ?」
庭師の秀樹が不思議そうに言った
久美子が馬鹿にしたように目を細める
「本当にあんた達はあのお二人を見て
これっぽっちも変だと思わないの?」
料理長の健三が口を挟んだ
「思わないね!
それに旦那様ご夫婦の問題は
われわれが軽率に話題にするべきではない―」
「俺は構わないよ!
噂話ってワクワクする!
そういう話題は大好きさ 」
秀樹が陽気に言った
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