chapter7 愛が生まれた日

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「それと奥様が秀さんに 山百合が咲いている所を教えてほしいって  今度の慈善団体の会をうちのガーデンプールで やるからその時にお花でいっぱいにしたいんですって」 秀樹が顔を輝かせた 「そんなのお安い御用さ! なんなら午後からでも軽トラで 奥様と一緒に山に入って沢山摘んでくるよ」 健三が不快気に眉をしかめる 「・・・この島のご当主の奥方が あまり家の従業員と親しくなりすぎるのは 感心せんな ご当主様の奥方には、当主の奥方として ふさわしい振る舞い方があるはずだ 」 「たとえば?」 久美子がぶっきらぼうに答えた 秀樹が腕を組んで考える   「う~ん・・・・と たとえば?買い物とか? なにかの雑誌で読んだけどセレブは パーティーなどで同じ服は二度と着ないそうだぞ! 旦那様の財力をみんなに自慢するためだそうだ!」 「あとは毎週のように美容院にネイルサロン? たしかに世のお金持ちのご婦人は そういう軽薄な生き方で満足してる人もいると思うけど でも・・ うちの奥様は日本のサラリーマンの普通のご家庭で ご家族とずっと一緒に暮らしてて たっぷりの愛情に包まれていらしたんですよ ですから今はお寂しくて一緒に家の事を あれこれしてくれる相手を求めてるのよ! それと・・・夫をね 」 「夫ならちゃんといるぞ?」 庭師の秀樹が不思議そうに言った 久美子が馬鹿にしたように目を細める 「本当にあんた達はあのお二人を見て これっぽっちも変だと思わないの?」 料理長の健三が口を挟んだ 「思わないね! それに旦那様ご夫婦の問題は われわれが軽率に話題にするべきではない―」 「俺は構わないよ!  噂話ってワクワクする! そういう話題は大好きさ 」 秀樹が陽気に言った
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