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背が高く身のこなしがアスリートのように優雅な彼
最近ではポロシャツに半ズボンと
黒のクロックスといった
カジュアルな服装をしているが
先日キクエの工房であったひょろひょろと痩せている
青年達と比べれば同じ格好をしていても
筋肉質の体を上手く隠しているとは思えない
「招待を受けないのならその招待状は
捨てたらいいじゃないか」
そう言われて杏奈が便せんから目線を大和に向ける
彼が杏奈の前のテーブルにかがみ込み
メモ帳か何かをマジマジと見ている
手首に着けたシルバーのロレックスが光を反射した
「お断りするからこそ欠席のその旨を
手書きのお手紙で書くんですよ 」
杏奈がペンにインクを浸しすばらしい飾り文字で
礼文を書いているのを大和が感心して見つめる
さすがは元優秀な秘書だ
「つまりは断りの手紙を送るのは
今後付き合いたくないということだな」
「正確に言うと一応上流社交界のご意見番達で
わざわざ会わなくても手紙をやり取りするぐらいの
付き合いは深めておくことはむしろ害があるどころか
有益であると判断した人達です 」
大和はそのあいまいさに思わず
腹を抱えて大声で笑った
「たとえば女性がよくやる
なんとも思っていない男から告白されて
(お友達でいましょう)ってヤツか?」
杏奈も楽しそうに書き仕事をしながら
大和の相手をする
今は筆ペンでのし紙に美しい文字で大和の名前を
書いてなにやら贈り物に張り付けている
「ええ・・・
きっぱり断って無下にしてしまって
後で恨まれるのが怖いので
「お友達」という防御策を最初に立てるのですよ
そしたら男性は拒絶されたわけではないから
交際を断ってからも好意を抱いてくれるでしょう?
女性は本能でむやみに敵を作りたくない生き物ですから」
「巧妙だな」
くっくっくと大和が笑いをかみ殺す
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