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杏奈は彼の電話が終わるのを待って尋ねた
「何かありましたか?」
「経営幹部のうちの二人が犬猿の仲で
顔を合わせるたびに衝突を繰り返しているんだ」
大和はテーブルのコーヒーポットから
二人分のアイスコーヒーをついだ
「どちらも失うには惜しい人材だし
どうにかうまく手を組ませられないかずっと
頭を悩ませていた
引き離すなんて考えてもみなかったよ、まさに名案だ」
大和に褒められて嬉しかったが
杏奈は困惑して言った
「それじゃぁ・・その幹部のお二人を
別々の部署に配置させるんですか?」
「まさにそうだよ」
ズズズッとアイスコーヒーを啜った後
氷が涼し気な音を立てた
「一人を投資家向け広報活動部へ移動
させることにした
これで万事解決だ 」
フーッと安堵した様子で
ソファーに深く脚を組んで座る
男らしく脚を組んでいる膝の位置がとても高い
こんなに脚が長くて邪魔じゃないのかと思うぐらいだ
「秘書の時も色々助けてもらっていたが
君がこうして助言をしてくれることが
どんなに助かるか・・・・
人間関係のいざこざにこれ以上頭を悩ませずにすむ
君はとても頭がいいな 」
杏奈は頬を赤くして言った
「・・・私が言ったたとえ話は・・・
小学生の子供の生徒の場合ですよ?」
わはははと大和は笑って
杏奈を抱きしめた
「まさにわが社にはそれが必要だよ
人間の感情は大人も子供もどうやら
同じようだ!
杏奈!ありがとう」
「ちょっ・・・・大和さんってば・・」
ガバッとテンションが上がった大和が
杏奈を抱きしめおでこに軽くチュッとキスをした
それと同時にどさくさに紛れて
杏奈のおしりを軽くつかんで笑いながら出て行った
「もう・・・・すぐ触るんだから・・・」
大和にキスをされたおでこを抑えて
杏奈は嬉しいような戸惑いの様な
複雑な思いを心に漂わせた
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