chapter7 愛が生まれた日

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杏奈は彼の電話が終わるのを待って尋ねた 「何かありましたか?」 「経営幹部のうちの二人が犬猿の仲で 顔を合わせるたびに衝突を繰り返しているんだ」 大和はテーブルのコーヒーポットから 二人分のアイスコーヒーをついだ 「どちらも失うには惜しい人材だし どうにかうまく手を組ませられないかずっと 頭を悩ませていた 引き離すなんて考えてもみなかったよ、まさに名案だ」 大和に褒められて嬉しかったが 杏奈は困惑して言った 「それじゃぁ・・その幹部のお二人を 別々の部署に配置させるんですか?」 「まさにそうだよ」 ズズズッとアイスコーヒーを啜った後 氷が涼し気な音を立てた 「一人を投資家向け広報活動部(IR)へ移動 させることにした これで万事解決だ 」 フーッと安堵した様子で ソファーに深く脚を組んで座る 男らしく脚を組んでいる膝の位置がとても高い こんなに脚が長くて邪魔じゃないのかと思うぐらいだ 「秘書の時も色々助けてもらっていたが 君がこうして助言をしてくれることが どんなに助かるか・・・・ 人間関係のいざこざにこれ以上頭を悩ませずにすむ 君はとても頭がいいな 」 杏奈は頬を赤くして言った 「・・・私が言ったたとえ話は・・・ 小学生の子供の生徒の場合ですよ?」 わはははと大和は笑って 杏奈を抱きしめた 「まさにわが社にはそれが必要だよ 人間の感情は大人も子供もどうやら 同じようだ! 杏奈!ありがとう」 「ちょっ・・・・大和さんってば・・」 ガバッとテンションが上がった大和が 杏奈を抱きしめおでこに軽くチュッとキスをした それと同時にどさくさに紛れて 杏奈のおしりを軽くつかんで笑いながら出て行った 「もう・・・・すぐ触るんだから・・・」   大和にキスをされたおでこを抑えて 杏奈は嬉しいような戸惑いの様な 複雑な思いを心に漂わせた
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