chapter 1 血の繋がり

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初めは盗み聞ぎするハメになってしまって 戸惑っていた大和は 話を聞かないように試みたがそれは無駄な抵抗だった なんといってもこの可動式のパーテーションの 天井の部分はスカスカに開いているし そしてとんでもなく隣の三人の声はバカデカい そして杏奈は海運王として尊敬する経営手腕や 彼の素敵な容姿などを色々くるみや妹に語って聞かせた その内容は彼女の隣の部屋で偶然 盗み聞ぎきすることになってしまった 大和への皮肉な称賛でもあった 「彼は今まで誰も挑んだことがないような事業展開をしているわ とても才能がある人だと思うわ でも先ほど私が言ったように 彼を知れば知るほど恋愛の対象にはならないの なぜなら私は決定的な事実を掴んでいるからよっ!」 ボソッ・・・・ 「気になるから早く話してくれ・・・」 大和は小さくつぶやいて 高級地酒のガラスのおちょこをクイッとやった なぜか隣で自分の事を好き勝手言われているせいで 緊張してるのかせっかくの高級地酒の味も 分からなくなっていた 「ここまで話したんだからもういい加減 気づいてちょうだい、37歳にもなって あれほど完璧な人が浮いた話のひとつもないのよ、絶対彼は女嫌いよ!」 「まさか!ゲイなの?」 キャー――――ッッと三人が叫んだ ボソッ・・・・ 「・・・・どうしてそうなるんだ・・・」 隣の部屋で声を潜めて大和はつぶやいた もちろん大和は女性が好きだった
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