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採水現場はつるはしやシャベルを運んだり
手押し車を押したりしている
男たちがそこらじゅうににいる一方で
攪拌機で海水をくみ上げている
バキュームカーのようなホースを何人もの係で
担当している地元の男衆もいる
そこにふと束の間大和は崖の方に
先日点検して危険だとなった梯子の下に
小さな男の子がいるのに驚いた
緑色のTシャツに黒い短パンで
ビーチサンダル姿はこの採水現場では
あまりにも軽装で危険すぎる
おそらく7歳ぐらいだろう
どうしてあんな所に子供がいるのか大和は疑問に思った
遊ぶにしてはあまりにも危険すぎる
親はどこにいるのだろうか
「―おい!あそこに子供が・・・」
「社長!あそこの崖に鉄柵を設置する設計図を
ご覧ください」
ヘルメットをした社員が設計図を広げる
「もしこれが――」
その後の大和のセリフは
不吉な亀裂音にふさがれた
突然耳をつんざくような激しい轟音が海岸に響いた
「危ない!」
と何人もの人が叫ぶ声が聞こえた
二人がそろって振り返ると
使用禁止となって上部に括りつけていた
梯子の鎖が大きな音を立ててちぎれた
と同時に大きな鉄の梯子が鎖から飛び出て落下した
降り注ぐ凶器の下にはなんと
先ほどの小さな少年がいた
大和は咄嗟に身を投げ出して駆け出し
少年に覆いかぶさった
次の瞬間轟音と共に
肩と背中に強烈な打撃を受けた
全身の骨が痺れて
頭の中に白い火花が散った
息が出来ない
大勢の声が遠くに聞こえる
腕の中で小さな男の子が叫んでいる
瞬時にどこか遠くの意識の中で
これはひどくやられたと
冷静に判断している自分がいた
そしてテレビのスイッチが切れるように
シューッバチンッと闇に包まれた
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