chapter7 愛が生まれた日

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「キャァ!!あなたっっ!」 杏奈は二人の社員と庭師の秀樹に担がれて 玄関を入って来た大和を見て思わず叫んだ 隣で家政婦長のお富も恐ろしさに声をあげた 夫はかなり汚れていて 殴られたように見え 上半身を毛布で覆われていた 「大変!何があったのですか? 暴漢にでも襲われたのですか?」 「・・・・実は・・・ 梯子に襲われた・・   」 大和がかすれた声で言った 彼は意識が朦朧としているようだ 社員と秀樹が杏奈に言う 「どこに運べばいいですか?」 「こちらへ!」 大和は顔を歪めながら 普段杏奈が寝ている夫婦の寝室へ運ばれた 「はやく!ここに寝かせてください」 大和は普段杏奈が一人で寝ている 天蓋付きベッドに二人がかりでゆっくりと横になった 心臓がドキドキする・・・・ どうしよう・・・彼に何かあったら・・・ 大和の状態を見て仰天したのは少し落ち着いてきたが 杏奈は震える手で 洗面器にお湯を汲みタオルを浸した お富が大声で使用人を呼ぶとすぐに数人集まった 皆(あるじ)が負傷したとの知らせに肝をつぶした顔になった そして明らかに動揺している杏奈をよそに 安部屋敷で働く使用人達は こうした緊急事態にはある程度慣れているようで 即座にみんな行動を開始した
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