chapter7 愛が生まれた日

15/38
前へ
/383ページ
次へ
庭師の秀樹が島のドクターを迎えにすぐに 軽トラックを走らせた 久美子たちはすぐに清潔なリネンの シーツやバスタオル類の準備にかかり 厨房に知らせに行った 都会ではすぐに救急車を呼べば済むのだが ここではそうはいかない 全部自分達でやるのだ 温かいおしぼりと着替えを用意して 杏奈はベッドに横たわってピクリとも 動かない彼を見てぎょっとした あちこちが擦り傷で血だらけだ 「・・・折れては無いと思うが・・・ 肩を脱臼したみたいだ・・とんでもなく痛む」 杏奈は心配で心配で 軽口なんか叩いている余裕もない 「あ・・・あなたのお仕事は 安全な事務室から社員さんに指示を 出すことではなかったの?」 杏奈はおしぼりで彼の顔や髪を拭き シャツのボタンを上から一つづつ外しにかかった 大和はわずかに開けた目で杏奈を見つめた 「大胆だな・・・・ 今は出来るかわかんないよ・・・ でも何事もチャレンジ精神が大事だ 君が上に乗ってくれたら・・・ 」 「ご冗談を聞いてる暇はありませんよ! それにセクハラです! 久美子さん!シャツを脱がすの手伝ってください」 「切った方が早いんじゃありません?」 大胆な大和のからかいに 少しも笑らえないとギロリと大和を睨み 久美子が差し出した断ち切りばさみで シャツをジャキジャキ切った
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7622人が本棚に入れています
本棚に追加