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・・・・・・
大和は今やイライラして天井の白い
木目をじっと睨みつけていた
肩の痛みは一向に引く気配は無く
杏奈が着替えを手伝ってくれるのがありがたかった
出来る限り自力で何とかしようと思っても
すぐに疲れてしまうのだ
シルクの紺色の半袖のパジャマを着せて
ボタンは第三まで開けて
ほとんどはだけている
「ありがとう」
そう杏奈に言い終わる頃には
体力もすっかり消耗して
今は吐き気まで襲ってきている
大和はうめき声をあげならベッドに仰向けになった
杏奈が掛け布団を胸のあたりまで引き上げてくれる
見つめてくる瞳は不安と何だかよくわからない
感情で潤んでいる
「研究所の監督さんや
現場スタッフさんが表で待っています・・・
入ってもらいますか?」
「入れてくれ 」
杏奈が反射的に大和の方へ手を伸ばしかけ
そしてためらう・・・
彼女は好意と遠慮の中で揺れている
まるで激しく求めている何かに懸命に
抵抗しているようだ
だが結局彼女は手を伸ばし大和の額を冷たい手で触った
熱があるか確かめている
「あまり長く話し込まないでください・・・
今は休息が必要なのですから・・・
すぐに夕食をお持ちしますね
ベッドの中で食べれる何かを健さんと相談します」
「腹は減ってない」
その言葉を無視して寝室を出て行く
杏奈を見つめながら大和は笑みを浮かべた
彼女の事だ
自分が何か食べるまでは絶対あきらめないだろう
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