7606人が本棚に入れています
本棚に追加
/383ページ
「幻滅させちゃって悪いけど佐奈
そういうものって隠しても見えてくるものなのよ
こんなエピソードを一つ披露して見せましょうか?
ある日社長が紫のグッチの格子柄の
ネクタイをつけて来た時があったの
それはそれはとっても似合っていたわ
それにネクタイと同じ色の翡翠のカフスボタンと・・・・
で!調査した所
そのカフスボタンはどこのブランドだったと思う?」
「それでそれで?」
「なんか聞くのが怖いわ」
「そのカフスボタンは韓国のブランドで唯一の
LGBTQのアイデンティティを推進する
ファッションレーベルの物だったわ
そのブランドの理念はより多くの人々に
LGBTQコミュニティを紹介するだけでなく
彼らを教育することを目的としていたのよ!」
「キャー――――――! 」
「キャー――――――! 」
ビシッと杏奈が名探偵コナンばりに指さした
再び三人のさけび声が上がった
ボソッ・・・
「なるほど・・・そうだったのか・・・」
あのカフスボタンは以前に韓国の客船取引きに
出向いた時に相手側の会社の引き出物として
プレゼントされたものだった
当時大和はただの記念品だと思っていたが
そういえば韓国の社長はあの時大和に
必要以上にベタベタしていたのを思い出した
なんとそんな意味があったのか・・・・
これであのカフスボタンを身に着けることは
二度とないだろう
そう大和は思った
「それに第一経理部の真田専務!
いつも金曜の午後には二人でジムに行って
汗だくになって帰ってくるのよ
間違いないわ!
安部社長のお相手は彼よ! 」
「キャー!キャーッ!
真田専務とぉー??
違う意味で汗をながしているのーーー?? 」
「待って!待って!真田専務って誰?誰?」
「写真あるわよ!
去年の慰安旅行の!!」
「やっだーーーー
イケメーーーンッツ
お似合いだわ―――――」
「キャー―――――!リアルBLよーーーー! 」
クルミが必死でスマホの画面をスライドして
真田専務の写真を佐奈に見せている
もう二人は大騒ぎだ
ボソッ・・・
「おいおい・・・やめてくれ・・・」
大和は眉をしかめた
金曜日の午後と言えばたしかに第一経理部の
真田とスポーツジムに行って汗をかいている
理由はただ単に自分がその日の午後しか
スケジュールが空いてなくて
彼が大和の好きな筋トレ
「ケーブルクロスオーバー」が出来る
スポーツジムを紹介してくれたからだ
大和の好みのマシンはそこにしか置いてないので
一緒に通っているのだが
なんとそんな仲にされていたなんて大和は驚いた
あのアンドロイドの様な完璧な秘書は
これほどまでに人を観察し自分をゲイ扱いをして
いたなんて思いもよらなかった
最初のコメントを投稿しよう!