chapter7 愛が生まれた日

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その晩大和は肩の痛みで朝方に目が覚めた 佐原のじじいの睡眠薬の効き目がなくなったのか サイドテーブルに置かれた杏奈が用意してくれた 鎮痛剤を飲もうかと思ったが もともと薬嫌いのもあって薬を飲むのをためらった   そして何より普段杏奈が寝ているこのベッドは クイーンサイズなので大和でもゆったり寝れるが 彼女の匂いが染みついていた 今は彼女は大和の部屋で寝ている そして彼女を思い大和の寝ているベッドに呼ぶ 適当な理由をあれこれ考えてみた 退屈だし 肩は痛むし 彼女の顔が見たくて仕方がない でも今は午前4時半だ 彼女を休ませてやらねばいけない 結局目が覚めてから一睡もできないまま 朝がやって来て半分開いたカーテンの隙間から 朝日が差し込む頃   大和は屋敷の召使たちが起きて仕事をする 気配をじっと感じていた パタパタとお富が二階の階段を登っている音がする 庭には秀樹が長ぐつを履いて 通り過ぎて行った影が窓からみえた そして大和の部屋から出て 洗面と着替えを済ませている水音 杏奈の小さなリビングを歩く足音が寝室まで聞こえた 彼女が起きた もうすぐ自分の所に来てくれる 長い夜が終わった 大和は安堵のため息をついた そしてようやく寝室の部屋のドアが開き 洗面を終えた杏奈のキラキラした顔が覗いた 髪の毛をポニーテールにし うなじのおくれ毛が朝日にキラキラしている スキニージーンズに 白の着心地の良さそうなブラウスを着ている ブラウスの生地のせいで胸の先がとがって見える
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