chapter 1 血の繋がり

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・・・・・・・ 「色々策を講じましたが やはり先代の遺言を無効にする方法は 今現在ではありません 」 同情する弁護士の表情を見て 大和は愕然として声を失った 祖父はいったい何を考えていたのだろう 怒りは逆効果にしかならない 今の彼にはそれがよくわかっていた しかし今だけは理不尽な理由でムカつくのを自分に 許してもいいだろう 大和はそこにあるグラスを投げつけたかった 亡くなった大和の祖父「安部昭三」は海運業を柱に 全世界に多大な資産を有する (初代安部海運株式会社)の 絶大なる権限を持った初代総師だった 祖父は生まれ育った島根付近の小さな埠頭で 無一文から身を起こし 自らの名を掲げた海運会社を立ち上げ その後次々と事業の手を広げて 大事業家にのし上がって来た男だった 祖父亡き今でも祖父の島では誰もが その存在に一目置かれている男だった しかし二代目の大和の父は 大和が物心ついた頃から祖父が築き上げてきた 帝国と財産を甘い汁を吸うだけのものにしていた 考えが浅く、女好きで大金を毎日散財する父と 祖父はよく大和の前で醜い争いをくり返していた そして父は大和が15歳の時に愛人と交通事故を 起こし還らぬ人となった 自堕落な生活を送り伝説になるほどの道楽にふけった 亡き父の後・・・・ 祖父の会社は倒産しかけた そして祖父はその事実を受け入れがたく重い病にふせった 祖父にとって会社がどれほど大切なものか 知っていた大和は父の死後大学を卒業してから 祖父の会社を立て直すために身を粉にして働いた 海運業に精通し業績不振の 家業会社を経営難から立て直し そして数年前に自分がCEOとして 「安部海運」から75%の株を買い取って 事業を拡げ会社を国際企業にまで大きくし 「ディアマンテ国際海運株式会社」に社名を変更した時には 大和は西の海運王と呼ばれるまでになっていた
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