chapter 1 血の繋がり

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「結婚証明の提出日は?」 「約一か月後」 「期限までに僕が結婚を証明出来なければ?」 「あなた様はお爺様の遺産を 相続する価値が無い人間と認定され 残されたすべての遺産は 海外の慈善事業団体に寄付されます」 「もちろんあの島も入っているだろうね」 「社長がお育ちになられたあの島は今は 中国企業が目を付けています 慈善団体に寄付されたら必ずや奪いにくるでしょう」 大和は考えた 自分は何が何でも遺産を相続しなければいけない あの島や自分が慣れ親しんだ祖父の物が他の 誰かに行き渡るなんて考えられなかった だが大和にはこの遺産を相続する条件の 結婚すべき女性のあてがなかった 今から恋愛をしてのちのちややこしくなるのはごめんだ どこかにビジネスライクで結婚をしてくれる 女性はいないものだろうか・・・・ 純粋にビジネスとして割り切り契約して籍を入れ しばらくは世間に幸せな結婚生活を送っていると いう態で世を欺き 結婚生活ではお互いに自由を尊重し お互いに別々の生活で 決して彼を好きにならない女性 そして時間が経てば慰謝料と共に煙のように消えてくれて 一生今後大和に関わらずこの事は生涯秘密にしてくれる女性 この計画に愛や感情などなんの役にも立たない どこにそんな女性がいるのだろうか? その時ふと姫野杏奈の顔が大和の心に浮かんだ あの冷静で時には落ち着き払いすぎていて 感情を持った人間とは思えないような彼女 彼女がやってくる前の秘書はどいつもこいつも さんざんで大和は本気で自分のスケジュール管理を AIにやらせようかと思っていた どの秘書も大和を見てまつ毛をはためかせ 自分のベッドを狙っているとわかった時は ゾッとして今後一切秘書には笑顔を向けない事を誓った しかし姫野杏奈は違った
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