chapter 1 血の繋がり

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姫野杏奈は七歳の時に人生を揺るがすような 大きな出来事を体験した それは一つ年下の妹のカンナが大病を患ったことだ ある日の冬の朝方、杏奈は両親に布団から たたき起こされ目が覚めた 「てんかんです!ハイ!すぐに来てください」 杏奈の枕元で父親が救急車に電話していた 母親は横で寝ていたカンナの異変に気付くなり 杏奈にどなった 「杏奈!玄関からカンナの靴を持ってきなさい! ぐずぐずしないで!」 いつもは優しい話し方をする母なのに口調は厳しく 杏奈は怖くて寝ぼけ眼のまま裸足で玄関に飛んで行った 妹カンナの靴をぎゅっと胸に握りしめ 頭の中は真っ白だった 救急車のサイレン音が どんどん近くなり家の前で止まった サイレンライトがガラスに反射して 玄関が真っ赤になったのを見て 7歳の杏奈は恐怖に震えた   「カンナを病院へ連れて行くわ お向かいの公子おばさんが家に居てくれるから あなたは公子おばさんとお留守番してなさい」 そこで初めて妹のカンナが重傷だということに気づいた 父の腕の中に毛布にくるまれて抱かれている妹は 白目をむいて口から泡を吹き ガクガクひきつっている 手も足もつっぱってまるでいつもの やんちゃな妹とは別人だった 杏奈の恐怖は今やピークだった 父と母とカンナはやってきた救急車に乗り込んだ 杏奈は母にカンナの靴を渡した そこからけたたましいサイレンを鳴らし 救急車は杏奈を置いて去って行った 「ああ・・・杏奈ちゃん怖かったね もう大丈夫よ!さぁおうちに入って もうひと眠りしましょう!」 お向かいの公子おばさんがすぐにやってきて まだ早朝薄暗い中公子おばさんの言われるままに 再び杏奈は布団にもぐりこんだ 体も布団もすっかり冷え切っていた 「神様・・・・妹をどうか助けてください・・・」 杏奈は布団の中で目を閉じそう祈った
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