chapter 2 運命の向こう側

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・・・・・・・・・ 婚約者の正人に別れを告げられてから 杏奈はここ数日やるせない怒りと 言い知れぬ悲しみと 行き場のない孤独感と戦っていた 自分の心は嵐のように吹き荒れていても 会社はいつもの大量の業務に追われていた こんな裏切り方をされると もう何一つ信じられないようになっていた それが一番辛かった 良かれと思って今まで正人にしてやったことも 彼を追い詰める結果になっていたのか もう怖くて恋愛なんか一生できないような気がする 今杏奈は夕暮れのオフィスでひとり居残って 珍しくここ数日は仕事効率が悪く 昼間追われた仕事を片付けていた 杏奈には世間体を考えて 一人暮らしなんかさせなかった両親は 2年前にカンナが当時付き合っていた彼氏と 同棲すると言うとあっさりカンナを家から出した それからは家を出たまま その彼と別れてもあの子は アパートで独り暮らしを続けている 家がすぐ近所というので 気ままに実家に帰って来て飲み食いをして 気ままにまた自分のアパートに帰って行くのだ 両親がカンナのアパートの家賃等を 援助しているのではないかと杏奈は睨んでいた 自分はお給料の一部を家にいれているのに ・・・・・家に帰りたくない・・・・ もし家でカンナと鉢合わせでもしたら とてもじゃないが冷静でいられないだろう   そこへ杏奈のスマホのバイブレーションが震えた 着信の相手を見た時杏奈の胃がぎゅと縮んだ 電話の相手はカンナだった 「もしもし?」 杏奈は警戒した声で言った 「姉さん?」 杏奈は浅く息を吸いこんだ ああ・・・嫌だ・・・・ こんな事言いたくないのに 「マー君もそこにいるの?」 二人はしばらく黙り込んだ 「いるわ 」
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