chapter 2 運命の向こう側

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誰もいないオフィスでカタカタと杏奈の ノートパソコンだけが鳴り響いていた 杏奈は自分の婚約解消についての スケジュール表を作成していた とりあえず明日結婚式場のキャンセルの 電話をしないといけない そして・・・・ 苦労して決めた披露宴の 席順表や招待状は・・・ もう印刷されているだろうか もしそうならキャンセル料金はいくらだろうか 新しい住居の予約手付け金はもう戻らないだろう それから・・・・ 入籍したらすぐにスタートさせるつもりだった スマートフォンのファミリー 契約の見積もりももういらない・・・ そしてこれが一番嫌だ 両親に事情を説明して 二人の仲人になっていただいた 父の上司にお詫びの挨拶に行ってもらわなければ 父は公務員で杏奈はじめ三姉妹にはどこか 距離を置いて自分の趣味に走る人だった 家のことはすべて母が取り仕切り あまり幼いころから父と遊んでもらった 思い出もなければ あまり関心も持ってもらえなかった その父が杏奈が結婚すると言ったら 嬉しそうに立派な仲人をつけてやると 申し出てきたのだ 今回の事は両親はなんて言うだろうか 人は裏切られた時に悔しいと感じる 本当は自分を責める必要などまったくないのに 裏切られたのはこちらに非があったからだと 考えてしまう キーボードを叩く手の甲にポツポツ 涙がしたたり落ちる 二か月前って?・・・・・ 私達どうしてた? :*゚..:。:.   .:*゚:.。: 心の整理をつけようとしてもどうしても無理だった さっきカンナに言われた言葉が頭の中をこだまする 二人のこれまでの事をあれほど粉々にしてくれた 彼はカンナにべらべら二人の事を何でも話しているの?
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