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彼は一つしかない街灯によりかかり
明かりを浴びている
彼にはスポットライトがよく似合った
漆黒の髪も、顔に落ちる影も
彫りの深い面立ちを際立たせるばかりだ
「社長?どうされましたか?」
杏奈が彼に聞く
ザザ・・・・ァ‥・ン
ザザ・・・・ァ‥・ン
優しい波音が二人のBGMになる
「姫野杏奈さん」
ザザ・・・・ァ‥・ン
彼が自分の名前を呼んだ
波風が杏奈のスカ―トを翻す
「ハイ・・・・?」
杏奈は返事した
彼の前髪が波風で旗のようにたなびいている
なんてことだ
彼は髪が乱れていても素敵だ
彼は何が言いたいのだろう
しばらくして
彼は杏奈をしっかり見つめてこう言った
「僕と結婚してくれませんか?」
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