7680人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて三女の佐奈が生まれ
姫野家は三姉妹になっても
両親は大病をした真ん中の次女を甘やかした
「妹を妬むのは良い事ではありません
あの子は死にかけたのよ
ひどく辛い思いをしたのだから弱い者には
優しくしてあげないといけないでしょう?
あなたはお姉ちゃんなんだからなんでも
カンナに譲ってあげなさい」
しかし杏奈にはカンナの病気はすっかり
治っているように見えていた
杏奈はずっと胸にピンと張り詰めたような
居心地の悪い感情がなんなのかよくわからなかったが
母にそう言われて初めてこれが嫉妬というものなのかと気づいた
母の言いつけを聞いても病気の妹に嫉妬してる
自分がなんだか悪い子のように思えて
その感情が起こるたびに杏奈は見て見ぬふりをした
普段の母は杏奈に優しくて作るごはんが
美味しくて大好きだったが
時々大好きな母が杏奈に冷たい態度を取る時があった
それは杏奈が母を喜ばせられなかった時だ
算数のテストで良い成績を取れなかったり
習い事でピアノ教室の先生に覚えが悪いと
言われた時などだ
妹は何をしても愛されるのにどうして自分は
努力しないと母に愛されないのだろう
と杏奈はいつも思っていた
最初のコメントを投稿しよう!