chapter 2 運命の向こう側

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「僕は自由を愛しています 僕が知っている女性達は 結婚を一生のものにしたがるんだよ」 いやそれはそうでしょうよ・・・・ 杏奈は心の中で突っ込んだが 無言で彼の話を聞く余裕はまだあった 「女は肝心な時には秘密や契約は どうでもよくなる生き物だ 僕はこの計画をもう何年も前から慎重に進めてきた だが慎重すぎてとうとう期限が危うくなっているんだ その点君は優秀な部下だ 君は仕事熱心で頭がいい それに忠実だし秘書として三年間仕えてもらって 君の人となりは評価しているつもりだ」 杏奈は彼をにらみつけた 「つまり・・・・ご自分の目的を果たすためなら 私の様な地味で秘密を守りそうな 取るに足りない女を利用しても平気だと?」 「その反対だな 僕の人生を左右する一生一代の大芝居を打つのに 取るに足りない女性だとすべてを壊しかねない 僕と一緒に誰にもバレずにこの計画を遂行してくれる とても賢い女性でなければならない」 彼はさらりと言った 「・・・・あなたに思いを寄せた女性達の中に 妻に迎えてもいいと思う人はいなかったんですか?」 大和は皮肉でも言いたげな顔をして じっと杏奈を見つめて言った 「いない ついでに言うと僕はゲイでもない 」 驚きと屈辱・・・・ いろんな感情が渦巻いて杏奈は 飲み込まれそうになった 決して彼の真剣な瞳からして自分はからかわれて いるのではないとは思うが・・・・ 杏奈はその場に立ち止まりどう答えればいいか 思い悩んでいた
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