chapter 2 運命の向こう側

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安部大和は思った この女性は感情がないのではないだろうか? いくら鉄壁の仮面をかぶってる感情が薄い人間でも これほどの申し出をされれば こんなに落ち着いていられないものだが 彼女は目を細めただけで無言で佇ずみ 熱心に契約書を読んでいる もしかするとこの商談は思ったより難航を示すかもしれない 大和は攻守どころを変えるべき時が来たと思った 「契約書の45ページを開いてください」 杏奈が開くとそこにはテナントの間取り図があった 「西日本最高立地のワールドトレードセンター 1階の正面玄関最高立地小売店舗面積41,000m2・・・ これは・・・・・ ワールドトレードセンタービルの・・? テナント?ですか?」 杏奈はじっくりと契約書に目を通し 内容を頭に入れようとしたがなかなか入ってこない 「とてもよい所ですよ 奥にちょっとした教室が開けるぐらいの スペースがありますしそこからなら 世界中の花を海上輸入することが出来る」 彼の肩眉が上がった 「世界中の花を取り扱った西日本一の フラワーショップを経営することもできれば その奥でフラワーアレンジメントの教室を 開くこともできる もちろん他の事業のどんな店舗にしてもこの 立地ならば成功することまちがいない」
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