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安部大和は思った
この女性は感情がないのではないだろうか?
いくら鉄壁の仮面をかぶってる感情が薄い人間でも
これほどの申し出をされれば
こんなに落ち着いていられないものだが
彼女は目を細めただけで無言で佇ずみ
熱心に契約書を読んでいる
もしかするとこの商談は思ったより難航を示すかもしれない
大和は攻守どころを変えるべき時が来たと思った
「契約書の45ページを開いてください」
杏奈が開くとそこにはテナントの間取り図があった
「西日本最高立地のワールドトレードセンター
1階の正面玄関最高立地小売店舗面積41,000m2・・・
これは・・・・・
ワールドトレードセンタービルの・・?
テナント?ですか?」
杏奈はじっくりと契約書に目を通し
内容を頭に入れようとしたがなかなか入ってこない
「とてもよい所ですよ
奥にちょっとした教室が開けるぐらいの
スペースがありますしそこからなら
世界中の花を海上輸入することが出来る」
彼の肩眉が上がった
「世界中の花を取り扱った西日本一の
フラワーショップを経営することもできれば
その奥でフラワーアレンジメントの教室を
開くこともできる
もちろん他の事業のどんな店舗にしてもこの
立地ならば成功することまちがいない」
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