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「それは母さんが甘やかせて育てたからよ
人としての基本を身に付けないといけない時期に
踏み外したのね」
母がムッとした
「何もそんなキツイ言い方をしなくても
いいじゃない 」
杏奈はため息をついた
「私も悪かったのよ
いくらてんかんを患ったからといって
何も言わなかったわ・・・・
もっと幼いころから取っ組み合いの喧嘩でもして
お姉ちゃんのものを泥棒猫のように
盗んだり壊したりしたらただじゃすまないと
思い知らせてやればよかった・・・・
普通の家庭の姉妹のように上下関係をきちんと
教えこんでいれば
でも母さんがカンナをかばっていたから出来なかった
うちの家族全員がカンナを甘やかして
あんな人の心が分からない
無責任な大人にしてしまったのよ 」
「杏奈・・・・
今週末温泉にでもいかない?
お父さんと佐奈も誘って」
杏奈は微笑んで首を振った
「気持ちは嬉しいけどそんなもので気持ちは晴れないわ
余計に嫌な事を思い出しそう・・・
あの子は今回の事で私の人生の姉妹関係に
ハッキリ亀裂を入れ込んだわ
まるでコピー用紙を手でビリっと破るように平然とね!
そしてあの子はそれをまったく悪いと思っていない
姉のものは自分のものと思っているのよ
自分が望めば男でも私が差し出すと思っているのよ」
「そうね・・・・私がいけないのよ・・・・
母さんがあんな風に育ててしまったから」
「やめてよ!」
ついにこらえきれず杏奈の怒りが爆発した
「母さん!お願いだから
一度ぐらいカンナが悪いと認めてよ!
千回の言い訳を探すよりカンナが
私に酷い事をしたと言ってよ
今は何をいわれてもあの子を責める以外に思いつかないわ」
すると母が杏奈の両腕を持ってすがった
「あなたの辛い気持ちは十分わかるわ
母さんからもキツク言っておくから
でもね・・・・杏奈・・・・ 」
「聞きたくないわ」
「こんなこと言うのは早いかもしれないけど
あなた達は姉妹なのよ・・・
そしてあなたは姫野家の大切な長女
私の大切なあなた達がいがみ合ってるなんて
お母さん・・・・とても苦しいの・・・
いつか・・・・あの子が心から謝ってきたら
どうか許してやってほしいの・・・
だって私たちは家族なんだから」
「そんなことを言われても
今は受け入れられないわ」
「何度も言うけど
あなた達は実の血を分けた姉妹なのよ!」
「母さんはただ単に私とカンナが仲たがいを
していたら自分の都合が悪いだけでしょ?
私は今後一切カンナと縁を切っても
ちっとも困らないわ!
むしろその方が幸せになれるわ!」
「杏奈っ!」
「遅刻するから行ってきます! 」
杏奈は駆け足で家を出た
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