chapter 1 血の繋がり

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生死の境をさまよう大病をしてから動物のように 育てられている妹は成績が悪くても お友達の物を盗ったと学校の先生に呼び出しを くらってもそれでも叱られることはなかった そんな杏奈にとってお向かいの公子おばさんの 存在が救いになっていた 公子おばさんは週に一回自宅で フラワーアレンジメントの教室を開いていた おそらく母はご近所付き合いの義理でその教室に 通っていたのだろうけどフラワーアレンジメント に夢中になったのは杏奈の方だった 毎回しつこく母の教室について行って 杏奈は許される限り母のそばで 熱心に講習を見学していた ついに母が根負けして自分のかわりに 杏奈を教室に通わせてくれた時には本当に喜んだ 「フラワーアレンジメントの講師なんて 生活できるほど金は稼げないぞ 趣味程度ならいいけどな 」 と父は笑った 「お見合いの時の経歴になるからいいのよ」 と母は言った しかし当時の杏奈は自分は花と話ができると 心の底から思い込んでいた どの花瓶にどの花と一緒に生けたらいいか 勘でわかるのだ 相性の合わない花は自分に語りかけてくるし 杏奈が生けた花はとても美しくどの花よりも長く咲いた
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