chapter 3 偽装契約

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・・・・・・・・ 「おはようございます!主任!」 給湯室でコーヒーを入れていると 可愛らしい後輩秘書が杏奈に挨拶をする 「おはよう!今朝の社長の モーニング・コーヒーは私が持っていくわ」 にっこりこれ以上のない笑顔を貼り付けて杏奈は言った 後輩秘書は手を組んで喜んだ 「本当ですかぁ? ヤッター!私社長が苦手で・・・」 へこへこと杏奈に頭を下げて感謝の言葉を発する お礼ならこっちが言いたかった 朝一で彼と話すのはこのタイミングでしかなかった その時エレベーターが開き、出社している社員が 一斉に入り口ドアに顔を向けて挨拶した ピリッとオフィスに緊張が走る 安部大和が出社して来たのだ ずらずらと部下を引き連れて 今日も彼は忙しそうだ 周りのデスクに座っている社員全員が 立ちあがって海運王に挨拶する そしてドヤドヤと彼は社長オフィスに一人入って行き 他の部下もそれぞれの持ち場に着いた 彼が社長オフィスに一人になった! 今だわ! 杏奈はトレーを持って 足音を立てずに社長室に向かった
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