chapter 3 偽装契約

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・・・・・・・・ 杏奈を乗せた彼はしばらく湾岸線を走った後 「ハイアットリージェンシー大阪」ホテルの 正面玄関にアストン・マーティンを止めた するとホテルの駐車係がすっ飛んできて 敬礼をした 彼は駐車係に車を託し杏奈を降ろした 杏奈はハイアット・リージェンシーの 正面玄関の巨大なシャンデリアを見上げた 大勢の外国の観光客やカートを運転している ホテルマンが忙しくしている ここなら何回か同僚の結婚式で来たことがあった モダンな客室を備えた関西でも一二を争う高級ホテルだ 施設は複数のレストラン、屋内プール、屋外プールを併設している 待って?彼は「僕の家」って言わなかった? 中に入ると海運王は身振りでエレベーターを示した 「僕のスイートルームなら一切人目につきません」 「ホ・・・・ホテルで暮らしているんですか?」 「資産運営用に市内にマンションを4つと 東京や日本各地に家を何個か所有していますが ホテル住まいの方が便利なんですよ 」 伏し目がちな彼の視線を受け止めながら 杏奈は案内されるままにエレベーターで 最上階の彼の暮らすロイヤル・スイートの 階まで行った 杏奈は彼がカードキーを突き当りの重厚な電気キーセットに通すのを見ていた ドアにはクリーニングされたてのスーツが 丁寧な作りのカバーに覆われて 引っかかっている 彼が部屋に杏奈を招き入れると 部屋はジャスミンのルームミストの良い香りが漂っていた
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