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杏奈を乗せた彼はしばらく湾岸線を走った後
「ハイアットリージェンシー大阪」ホテルの
正面玄関にアストン・マーティンを止めた
するとホテルの駐車係がすっ飛んできて
敬礼をした
彼は駐車係に車を託し杏奈を降ろした
杏奈はハイアット・リージェンシーの
正面玄関の巨大なシャンデリアを見上げた
大勢の外国の観光客やカートを運転している
ホテルマンが忙しくしている
ここなら何回か同僚の結婚式で来たことがあった
モダンな客室を備えた関西でも一二を争う高級ホテルだ
施設は複数のレストラン、屋内プール、屋外プールを併設している
待って?彼は「僕の家」って言わなかった?
中に入ると海運王は身振りでエレベーターを示した
「僕のスイートルームなら一切人目につきません」
「ホ・・・・ホテルで暮らしているんですか?」
「資産運営用に市内にマンションを4つと
東京や日本各地に家を何個か所有していますが
ホテル住まいの方が便利なんですよ 」
伏し目がちな彼の視線を受け止めながら
杏奈は案内されるままにエレベーターで
最上階の彼の暮らすロイヤル・スイートの
階まで行った
杏奈は彼がカードキーを突き当りの重厚な電気キーセットに通すのを見ていた
ドアにはクリーニングされたてのスーツが
丁寧な作りのカバーに覆われて
引っかかっている
彼が部屋に杏奈を招き入れると
部屋はジャスミンのルームミストの良い香りが漂っていた
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