chapter 3 偽装契約

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きちんと掃除が行き届いた部屋 美しいソファーや椅子、高い天井に息を飲んだ まるで外国映画を見ているようだった 杏奈は失礼かもと思ったが 周りを見回さずにはいられなかった 彼はここを住まいにしているなんて・・・・ そして全面ガラスの羽目板の景色からは オフィスと変わらず太平洋の全貌が現れていた 本当に海が好きなのね・・・・・ 彼は上着を脱いでキングサイズのベッドに放り投げ カフスボタンをはずして袖を二回まくりあげた 逞しい腕が現れる 「上着を預かろうか?」 「いっいいえ・・・結構です」   「座ったらどうだい? 」 フカフカの座り心地のよさそうな椅子を手で示す 「何か飲み物でも?」 「結構です」 杏奈はおずおずとソファーの端っこにちょこんと座った 「そう硬くならないで 意地悪などしないよ  」 どこか彼は愉快そうな瞳で杏奈を見た 「意地悪されてもちゃんと対処できます」 ムッとした杏奈は眉をよせて答えた 数秒間彼はまじまじと杏奈を見ていたがクスクス笑い出した もう・・・また私を見て笑ってるわ・・・ その時部屋のインターフォンが鳴った 「弁護士団が来たな」 彼が言った
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