chapter 1 血の繋がり

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ある日講師の公子おばさんが杏奈のために 特別に作った花瓶をプレゼントしてくれた その頃には杏奈が公子おばさんの教室で一番熱心な 生徒になっていた 杏奈はフラワーアレンジメントをこれほど 強く学びたいと思ったことはなかった 公子おばさんからもらった虹色の小さな花瓶に 水を吸いこませたスポンジを入れ 杏奈の好きなユリとかすみ草を使ってドーム型にしさらに杏奈のアイデアでそこに100均で買った ラインストーンを花びらにちりばめてアレンジした まるで小さな宝石箱の様な 可愛らしいアレンジメントは 講師の公子おばさんに絶賛され 近所のお花屋さんがぜひうちの店に置かせてほしいと褒められた 杏奈は我ながら良く出来た自分の作品が誇らしく その日は杏奈にとって 子供時代で一番幸せな日になった それから数日後の夕方杏奈はピアノ教室から 帰宅した 何時間もピンと背中を張り同じ姿勢を 続けていたせいで 指は吊り背中は筋肉痛になっていた 二階に上がり自分の部屋に行くと 杏奈の机で妹が何かしていた 杏奈は怒った 姉の机には触るなとあれほど言っているのに 妹は禁止されればされるほど興味が湧くらしい
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