chapter 3 偽装契約

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・・・・・・・・・ 「無理です! こんな高級なお寿司屋さんなんて入れません!」 杏奈はハイアットリージェンシーの6階の 看板すら無い美しいヒノキの入り口に立ち止まって 青ざめた顔で言った 「お心遣いはありがたいんですけど・・・ 仕事帰りでこんな高級なお店にふさわしい 服装じゃありませんし・・・ 持ち合わせもありません 」 今や寿司屋を前にして怯え切っている彼女の 変わり様を見て大和は目を見張った さっきまで契約交渉の時はいたって冷静だった彼女が たかが高級寿司と聞いただけで途端にしり込みして おどおどしている 「ここはドレスコードがあるような店じゃないし 僕は腹ペコだし君を送って行く前に 何か腹に入れる必要がある  僕といる時は僕がすべてご馳走する 値段は気にしなくていいんですよ  」 「しかし看板がありません! 恐ろしい話です!お作法も知りません!」 大和は思った  今まで自分が一緒に食事をしようと女性を説得 しなければならないのはこれが初めてだった 彼女もそれに気づいてるのか いたたまれないような顔をしている 「作法なんか何も気にしなくていいですよ とにかく5分以内に何か食えるなら 他の事はどうだっていい 」 大和はまだためらっている彼女を促して 寿司屋に入った
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