chapter 3 偽装契約

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「せめて一か所にまとめてくれ! 迎えに行くものの身にもなってくれよ」 父の登がいそいそと ゴルフシューズを履いて佐奈に言う 「みんな路線が違うからしょーがないじゃん! だいたいうちが花園駅と春日駅の真ん中にあるから いけないんだよ! 」 「誕生日会ならどこかの駅近のレンタルスペース とかでやればいいのに せまい家にそんなにクラスメイトを呼んで・・・」 母の美佐江がブツブツとぼやく 「みんな自分の家でやるんだよ! うちの学校の恒例行事なんだから 誰もレンタルスペースでなんかやってないよ! 杏奈姉ちゃんの時はうちで 盛大にやってくれたくせに! 」 「杏奈は長女だったし、初めての女子高の お友達同士のお誕生日会だったからよ もう三人目にもなったらお母さんも疲れちゃうわよ」 「姉妹を差別するのは良くないわ! ちゃんとバルーンも飾ってくれた?」 佐奈が眉をしかめて言う 「ハイハイ・・・ あなたも何でもお姉ちゃんと比べるのはやめてね お父さんが駐車場で呼んでるわよ!」 と母は入り口へ目をやった 「いっけない!友達が駅で待っているわ! 行ってきまーす!」
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