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杏奈は二階の自分の部屋で佐奈と父を乗せた車が
駐車場から出て行く音を黙って聞いていた
ドレッサーの鏡の前に座って小さくため息をついて
先日の大和とのやり取りを思い出す
「今週の日曜日ですね・・・・
明日からペルシャ湾の出向所に行きますが
多分間に合う様に帰ってこれると思います」
:*゚..:。:. .:*゚:.。: :*゚..:。:. .:*゚:.。:
佐奈の誕生日パーティーの当日になっても
彼からはなんの連絡もなかった
彼が果たして今日このパーティーに
間に合うかもどうかわからない・・・
来てほしいような来てほしくないような・・
杏奈は複雑な気持ちに駆られていた
しかしもしも彼が来た時のために
杏奈は婚約者を迎える時に
ふさわしいように念入りにお洒落した
昨日も時間もかけてマルイの高級ブティック
をあれこれ品定めしては
どの服が最も自分を美しく見せてくれるか
そんなことばかりを気にして洋服を選んだ
そして杏奈が購入した服は
婚約者の彼を迎えるのにふさわしい服装として
いつものカチッとした秘書のタイトスーツではなく
スナイデルの女性らしいシフォンのふわりと
したピンクのドット柄のワンピースだった
メイクは目元を強調するだけのもので
髪は毛先だけ綺麗に巻き
フェラガモノのカチューシャを付け
良い匂いのするヘアオイルをつけた
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