7705人が本棚に入れています
本棚に追加
今まで妹には杏奈の塗り絵や大切にしている
ハンカチや本も破られたりしていた
杏奈はなるべく恐ろしく聞こえるように怒鳴った
「何をしてるの?」
怒った杏奈の声にカンナが驚いて振り返り
はずみで手にしていたものが落ちた
パリーンッ!!
何かが大きく割れる音が響き
二人は呆然となった
フローリングの床に散らばったガラスの破片
杏奈は声もなくじっと見つめていた
公子おばさんにもらった虹色の花瓶だった
綺麗に生けた花もぐちゃぐちゃに散らばっていた
「どうしてくれるの!
公子おばさんにもらった花瓶!
宝物だったのに!
あっちへ行きなさいよ!」
激しい怒りと共に杏奈はカンナに怒鳴った
目には涙がじわりと滲んできた
しかし先に泣いたのは妹の方だった
カンナは小さな顔を真っ赤にして大声で泣いた
泣き声を聞きつけて母が飛んで来た
「お姉ちゃんが怒ったぁ~~ 」
カンナはしゃくりあげながら母に訴えた
「カンナ!怪我はしていない?」
割れたガラスの破片を見ると
慌てて母は妹を抱き上げた
「カンナが私の花瓶を割ったのよ!」
杏奈は大声で母に言った
泣きたいのはこっちだった
「勝手に部屋に入って!
私の机に乗って!
公子おばさんにもらった花瓶!
宝物だったのに」
母はカンナを抱いたまま大きくため息をついた
「とにかく・・・・
ふたりとも怪我がなくてよかったわ
掃除機をもってくるから
触っちゃダメよ ガラスは危ないわ 」
母は困った顔で言った
「ママ!カンナを怒ってよ!
カンナなんか大嫌い!
今度私の部屋に入ったら叩くからね!」
カンナの泣き声がいっそう大きく部屋に響いた
母はしかめ面をして言った
最初のコメントを投稿しよう!