chapter 3 偽装契約

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・・・・ 【ショッピングモール駐車場】 美佐江が両手に持ち帰り用寿司の丸桶を それぞれ3段ずつ買い込み さらに誕生日用のケーキや他 大量のパーティ道具の 買い物を済ませ車に戻ってみると どういうわけかかれこれ20年乗っている 我が家のエスティマはアクセルを踏んでも イグニッションキーを何度回しても その頑固な機会は動こうとしなかった 美佐江は途方に暮れて 駐車場のガードマンに 車の様子を見てもらう様に頼んだ ガードマンは車のボンネットを開け 頭を突っ込んでしばらくあちこち弄り回したが やがて頭をひっこめて肩をすくめた 「奥さんこりゃダメですね~ ディーラーに持って行かないといけませんよ」 「まぁ・・・困ったわ~  」 美佐江はガードマンに礼を言い しかたがなく駐車場から保険会社に電話した 「ええ・・・・急に動かなくなりまして・・・ ハイ・・ああ・そうですか? 今からレッカーで来てくれるんですか? まぁ助かりましたわ・・・ ええ・・花園町の姫野です・・・ 保険契約者は姫野登で・・ ハイ・・・私は妻の美佐江です ハイ・・ハイ・・10分ほどですね・・ ええ待っています 」 その時美佐江の横合いから深みのある声がした 「失礼ですが 何かお困りですか?」 美佐江はその声に振り返った するとエスティマの隣に駐車している シルバーのスポーツカーを挟んで背の高い素敵な 男性がこっちを向いていた
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