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それに比べて自分はどう務めても
笑顔がひきつってしまうような感じだった
思いもよらない訪問者と車の故障で
佐奈の友達たちはパーティーがお開きになると
タクシーで最寄りの駅まで帰って行った
残された姫野家は家族と大和だけになり
緊張した杏奈が彼の前にコーヒーを置く
「ありがとう、杏奈さん」
彼の挨拶は礼儀正しいものではあったが何年間も
彼女に向かって言い慣れてきたような雰囲気があった
杏奈はおずおずと彼の隣に腰をおろした
すると彼が杏奈の方へピッタリと身を寄せた
ビクッと杏奈は戸惑いを覚えないわけにはいかなかった
今まで正人以外の男性とこんなに
接近して座ったことなどなかったからだ
その杏奈の戸惑いを母親と佐奈は見逃さなかった
積極的な大和の態度に比べ杏奈の態度はどこか
よそよそしく控え目に見えた
母は杏奈という娘はそういう性格で
人前で愛情を軽々しく披露するような
子ではないと納得した
しかし末っ子の佐奈は違った
佐奈は無邪気な目つきで大和を見ていた
彼が淡々と結婚式の日取りとその後の
新婚生活は半年間彼の生まれ育った島根の離島で
暮らすと説明している時に
杏奈はこの末っ子が次にどんな質問を大和に
浴びせるかと考えて気が気でなかった
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