chapter 3 偽装契約

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「ねぇ! 大和さんは本当に杏奈姉ちゃんの事が好きなの?」 「ああ そうだよ 」 「結婚したいほど?」 「うん 」 「あ~や~し~なぁ~・・・ 杏奈姉ちゃんはついこの間まで マー君と婚約してたんだよ?なんだかおかしいよ!」 「これっ!佐奈っ!」 母美佐江が佐奈を即座にたしなめる しかし佐奈は好奇心溢れる目つきで大和を見ている 姫野家の末っ子は姉がディアマンテのCEOと 結婚すると聞いた所で両親の様に 恐れ入ったりする性格ではなかった そんな佐奈に大和は優しく微笑んだ 「僕達の間には隠し事は無いからね もちろん彼女に婚約者がいたことは知っているよ 実は・・・・僕は杏奈さんが入社した時から 彼女に恋焦がれていたんだ でも・・・彼女にはそう・・・ さっき佐奈ちゃんが言った婚約者がいた・・・」 彼は肩をすくめて言った 「でも諦めきれなかったんだ・・・・ 彼女が彼と別れてくれるのをずっと願っていた そして・・・長い片思いが実って 彼女がつい先日プロポーズをOKしてくれた時は 天にも昇る気持ちでしたよ」 そうなの? 杏奈はうつ向いて誰にも見られないように ぎょっとした顔をした 「まぁ・・・まぁまぁ・・・ そんなにしてまで・・うちの娘の事を・・・・」 じわりと美佐江の目に涙が浮かんだ 今や母は感動して口元を両手で押さえている コホンッ・・・・・ 「良い・・・・お話じゃないか・・・ 杏奈・・・彼の元に嫁ぎなさい  」 即答すぎない?お父さん? 杏奈はうつ向いてやはり 誰にもわからないように目を見張った
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