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「君の好みでないのならすぐに別の物を用意させるよ 」
彼は呆然としている杏奈の手を掴んだ
驚くほど優しい掴み方でその気になればやすやすと
手を引き抜くことができそうなのに
杏奈は石になったようにじっとしていた
そして彼は杏奈の左薬指に指輪を
はめて満足そうに言った
「うん・・・ピッタリだな」
彼の言葉がどういう意味か分からないうちに
彼は素早く杏奈を腕に抱きこむと
まるで映画のワンシーンのように
杏奈にゆっくりキスをした
再び二階の窓から叫び声が聞こえた
杏奈はまさか彼がこんな振る舞いに出るとは
思わなかったので
驚きで身動きも出来なかった
以外にも柔らかい彼の唇が優しく杏奈の唇を圧迫する
そして少し唇を離して杏奈の顔を伺っている
「あ・・・あの・・・・
何を・・・・ 」
杏奈は海運王をマジマジと見つめた
クスッ
「何をしているのかって?
12歳も年下の美しい女性を花嫁にもらうので
のぼせ上がっている中年男の役を演じているんですよ」
演技?・・・・・
「さぁ目を閉じて 」
再び彼の顔が近づいてきて唇が重なる
今度は彼は慎重に誘惑するかのように
杏奈の上の唇・・・下の唇・・・と
順番に軽く吸った
そして後頭部を手で優しく包み込まれ
彼の唇が杏奈に口を開けろと命令した
杏奈が目を閉じ彼に従った瞬間
自分の口内をゆっくりと探る彼の大きな
舌のなめらかで温かな感触に杏奈は息を飲んだ
彼の舌が自分の中で動く圧倒的な感覚
その度下腹部の奥がきゅっと締まり
ぞくぞくと快感に襲われる
口の中がこんなに感じるなんて初めての体験だった
心なしか彼はミントの味がした
息をのむような一瞬一瞬のあいだ
彼の舌は杏奈の口の中をまさに
容赦なく探った
血管に火の粉が入り込んだかのごとく
熱が体じゅうに広がった
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