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「さ~な!
お姉ちゃんをからかうもんじゃありませんよ
今はお姉ちゃんは幸せいっぱいなんだから
放っておいてあげなさい 」
キッチンから美佐江が笑いながら二人をたしなめる
母の美佐江の目から見ると杏奈という娘は
正人と恋愛していた時はどこか冷めていて
彼に対する杏奈の冷静な態度に少し心配をしていた
なので杏奈が今あの安部大和との恋に酔って
普通の乙女みたいな事をしている態度を見ると
娘も普通の女性なんだと心から安心し
この結婚を何としても成功させる
心づもりになった
「だって!ママ!
あの晩のお姉ちゃんったら
大和さんの車がもう行ってしまったのに
まるまる五分は玄関先に突っ立ったままだったんだよ
幸せ過ぎてボーッとしてたんだよ」
キャハハと佐奈はおなかを抱えて笑った
いつも冷静な姉をからかうのが
面白くてたまらないといった感じだ
「もう!そうやってあなた達は
人を笑い物の種にしてればいいわ!
行ってきます!」
自分でも思いがけず真っ赤になっている
杏奈はあきらかに面白がっている
母と妹を残して本日で最後の出勤に向かった
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