chapter 4 フェイクな花嫁

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「さ~な! お姉ちゃんをからかうもんじゃありませんよ 今はお姉ちゃんは幸せいっぱいなんだから 放っておいてあげなさい 」 キッチンから美佐江が笑いながら二人をたしなめる 母の美佐江の目から見ると杏奈という娘は 正人と恋愛していた時はどこか冷めていて 彼に対する杏奈の冷静な態度に少し心配をしていた なので杏奈が今あの安部大和との恋に酔って 普通の乙女みたいな事をしている態度を見ると 娘も普通の女性なんだと心から安心し この結婚を何としても成功させる 心づもりになった 「だって!ママ! あの晩のお姉ちゃんったら 大和さんの車がもう行ってしまったのに まるまる五分は玄関先に突っ立ったままだったんだよ 幸せ過ぎてボーッとしてたんだよ」   キャハハと佐奈はおなかを抱えて笑った いつも冷静な姉をからかうのが 面白くてたまらないといった感じだ 「もう!そうやってあなた達は 人を笑い物の種にしてればいいわ! 行ってきます!」 自分でも思いがけず真っ赤になっている 杏奈はあきらかに面白がっている 母と妹を残して本日で最後の出勤に向かった  
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