chapter 4 フェイクな花嫁

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海運王の結婚相手がこれまで 第一秘書課サポートチームの 彼の補佐役で働いていた主任秘書の杏奈だと 明らかになると ディアマンテ社員の関心はさらに高まり 今年の秘書課の就職競争率は過去最高の物に なるだろうと予想されてたし 花嫁の杏奈の実家の両親の職種まで明らかになり 中には杏奈は実は女優志望だったのに 海運王が見初めて三年前から 強引に自分のひざ元に置いていたという デマのロマンスも飛び交っていた 秘書課サポートチームの後輩は 「みんなにしょっちゅう杏奈先輩の事聞かれるんです」 と杏奈のデスクにわざわざいれたてのコーヒーを 一時間おきに置いた     「でも当然ですよね!」   他の秘書も言った 「みなさん いったいどうやって 主任が仕事一本の海運王の心を射止めたのか それはもう興味深々ですよ 」 長年勤めている社員からは質問責めに合ったし 年数の浅い社員も二人の馴れ初めに興味があるのか 用もないのに杏奈に色々話しかけてきて 聞き出そうとする いろんな部署のいろんな人がやってきて 秘書課の方の豊かな知識のアドバイスを いただきたいと表向きは言っていても 中にはあからさまに海運王に自分を 売り込んでほしいと打診してくるものもいた
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