chapter 4 フェイクな花嫁

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そしてそんな杏奈を好奇の目から守ってくれたのは 以外にも秘書課の後輩達だった ここへきて杏奈は彼が今週いっぱいで仕事を終了してほしいと言った意味が痛い程理解できた これ以上会社にいると余計な事や 後で辻褄が合わない事を言いそうだったので 内心ヒヤヒヤだった そして杏奈の最後の業務の日は なんとも大変な日になった 病欠した秘書の代理はまったくの役立たずで 自分から動かずそこから小さな遅れが重なって 杏奈のパソコンもここぞと言う時にクラッシュした 幸いバックアップを取っていたおかげで データの消失は少しですんだが システムを復元するのにかなり時間がかかった 結局昼食を抜き コーヒーとミネラルウォーターと 午後にスニッカーズを少しかじって 引継ぎ作業に追われた 空腹で仕事をすることは褒められたことではなく ここ数日の睡眠不足もたたって頭痛がし出し 五時半には帰ろうかと思ったが あと一時間は頑張るつもりだった ほぼ終わりかけた時に バンッと誰かが杏奈の目の前に立ちふさがり デスクを叩いた 杏奈が顔を上げると 後輩秘書のくるみが怖い顔をして杏奈を見ていた 「杏奈先輩!ちょっとお話いいですか?」 杏奈は思った やっぱりくるみだけはごまかしきれないだろうと だって彼女にはずっと以前から 杏奈と家族ぐるみで付き合っているし 正人との事も全部知られていた 杏奈はくるみだけは本当の事を 言っておくべきだと思った
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