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「昨日のおなら、お前じゃないだろ」
翌日の休み時間、移動教室のため廊下を歩いている途中で、堀北が切り出した。
「うっ、まあバレるよな」
試験中の僕の席は堀北の真後ろ。方向からして、あのおならが僕のものではないのが彼にバレるのは当然のことだ。
「あき……西宮さんが、ピンチだったから」
「うーん、そこなんだけどよ」
「なに?」
いつになく歯切れの悪い堀北。
僕が問いかけると、気まずそうに視線をそらして。
「いや、なんでもない」
「なんだよそれ」
「大したことじゃないから。忘れてくれ」
「そこまで言ったなら言えよ。気になる」
「うーん、わかった」
人の七倍の嗅覚を持つという堀北が、どこか申し訳なさそうな口調でこう続けた。
「昨日のおならの匂い、東条さんの席から漂ってたんだよ。西宮さんじゃなくて」
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