24人が本棚に入れています
本棚に追加
/159ページ
そんなこんなで、今夜の夕飯は冷やし中華を作って、体ごとクールダウンさせる事にした。
「んで、旅行は結局どこに行くのよ」
ズルズルと麺を啜った歩実が聞いてきた。
「熱海か伊豆って言ってた」
「ほうほう。温泉ですね」
歩実がニヤニヤ笑う。
「温泉といえば浴衣。浴衣といえばはだける。はだけるといえば……」
歩実のニヤケ顔のもったいつけた言い方に、私はなぜかドキドキしてしまう。
「もう、ラッキースケベな展開しか目に浮かばないッ!」
歩実は箸を握って、ダンッとテーブルを叩いた。
「歩実、歩実ちゃーん」
ヤダ、この子。怖いわよ。
「お姉ちゃん。ボックスティッシュ、買い溜めしておきな」
「ちょっ!それ言う?確かに鼻血常習者だけどさッ!」
確かに私もさっきそれ思ったけどさー!
「ヤバい。楽しみで死にそう。ううん、逆だわ。生きる糧になったわ」
「あんた、どんだけ仕事辛いの?」
姉として心配になってきたわ。
「辛すぎるわよッ!華やかなアパレル業界の広報にいながら、上司はハゲブタのジジィ!うっせーババァばっかなんだからッ!」
うわぁ。
かなーりストレスMAX。
「旅行行ったら、写真撮りまくらないと」
鼻息荒いよ?
こんなんで、本当に旅行は無事に終わるんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!