2.回顧録

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2.回顧録

桜小路あやのには、予め災害が分かる。 どこに来るのか。 どのくらいの規模の災害が来るのか。 たくさん鳴っている海底火山の海鳴り。 あやのは、皆んなにはこの「海鳴り」が聞こえていないことを知らない。 桜小路あやのは、いつも起きる体の違和感だけを不可解に思って過ごしていた。 自分には、その力があり予言できることを知る。 古文書をなぞり、時空を超える力がある。 ただ、皆んなと違うことは三半規管が弱い事である。 バランス感覚が無く、大地が揺れると体勢を崩しそうになる。 新大阪駅にいても。 神戸三宮の高層ビル3階のレストランにいても。 東京の高層ビルの中にいても、どこから揺れて来て、どこが未来に揺れるか分かる。 しかし、この能力は秘密事項である。 なぜなら、「怪しい人になって危ない人」になるからだ。 毎年、正確に予言出来るようになっていた。 プレートは、世界に連携していること。 地球には周期があり、火山を噴火させて北極や南極の氷を冷やすこと。 そして、人類は「1つの周期しか知り得ないこと」を知ったことである。 命は100年しかない。 災害は100年分しか分からない。 人は経験した災害しか信用しない。 だから逃げ遅れる。 災害を経験したら、生きているかは誰にも分からない。 あやのは生まれたときから、災害が多い。 災害をテレビで見た回数が多い。 災害の瞬間や、災害発生の直後にテレビを見ていたことが多い。 テレビを付けた瞬間に、災害ニュースが速報で始まった経験が小さな頃からあった。 仕事に疲れてソファで眠ってしまい、真夜中に目が覚めるとハイジャック事件をリアルタイム報道していたこともよくある。 災害の前に、必ずテレビの前に呼ばれていた。 誰かが、「あやのは知っておけ」と言っているのだろう。
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