10.畑中の相談!

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10.畑中の相談!

藤野に最後に触れられたのはもう一ヶ月くらい前のことだろうか。確か夕方、外出から戻って研究室にいたところを藤野が追っかけてきて部屋でキスをされて。当たり前のように舌を入れてきて股間を弄ってきた藤野に、抵抗しながらも腰が砕けてしゃがみ込んだ。 『もうやめろって』 『処女喪失心理学を教えてもらうまでやめないですよ』 そう言っていたような気がした。だけどあれから藤野は触れてこない。ひょっとしたら女子生徒たちがいうように畑中といい仲になったのかも。ということは俺の貞操は守られた、ということだ。これで安心、のはずなのに藤野が研究室に来ないのは何だか寂しい気がする。 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒たちが教室を後にしていく。この教室はこの後で使用しないから鍵をかけておかないといけないため俺はみんなが出ていくのをのんびりと待っていた。 「塩谷先生、少しいいですか」 声をかけられ視線を向けるとそこには畑中が立っていた。珍しいことに今日は彼一人だ。 「ん?どうした、何か相談か?」 「話しておきたいことがあります。できれば人がいないところがいいです」 真剣な顔をして言ってくるものだから、なにか大切なことなのだろうかと思って、ここの教室で話を聞くことにした。 俺と畑中以外がみんな教室から出ていったことを確認して、教卓前の椅子に座った。畑中とこうして面と向かって話をするのはもしかしたら初めてかもしれない。 「すみません、時間いただいて」 「いいんだよ。ちょうど次の四時限は俺、授業なかったし。相談事はなんだ?何かわからないところがあったか?」 「…いえ、藤野のことです」 突然その名前が出て、俺はギョッとしてしまう。てっきり授業のことだと決めつけていたからだ。
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