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「あ、でも結婚式は親族だけでこじんまりとやるつもりだから、そのあとのパーティーに来てよ。うちのバーでやるから」
「オッケー!あのバー雰囲気いいじゃん?楽しみ」
「てか、二次会に彼女――奥さんも来るんだろうな?お前だけじゃないよな」
疑るような目つきで昇太が言うので、樹がおかしな顔をして答える。
「結婚式の二次会なのに、オレだけいる方がおかしくないか?」
「金髪の先輩とお前が並んで会見するとか」
「え?伊織さんのことか?明らかにおかしいだろ!」
昇太と忠士が腹を抱えて笑っている。
「あの人、男だけどめっちゃきれいな顔してるから良いじゃん!」
「良いわけないだろ!」
「あっはっは!そりゃそうだ。樹ちゃんが彼女のこと隠そうとするから、よけい気になるんだよな」
飲み会の話題が樹の結婚のことで持ちきりになり、二時間ほど過ぎた頃、そろそろ帰るかという声が出た。
お会計の段階で、樹が財布を出そうとしたとき。
「いいよ、今日はオレたちが払っておく」
「え?なんでだよそんな」
戸惑いながら樹が言うと、忠士が続けた。
「結婚の前祝いってことで。幸せのお裾分けをもらったからな。だから」
「その代わり、二次会ではちゃんと奥さんを紹介しろよ」
ニカッと笑う昇太と忠士を前に、樹はありがとうと礼を伝えた。
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