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先に店の外に出た樹は、スマホを取り出して家で待つ汐里にメッセージを送信した。
時間は二十一半すぎ。二時間半ほど店にいたことになる。
(樹)今終わった。もうすぐ帰るね。
すぐに既読になり、返信が届く。
(しおりん)気をつけて帰ってきてね!待ってる~!
画面を見つめる樹の口元には優しげな笑みがこぼれた。
すると、続いてポンッと写真が送られてきた。
汐里が自撮りしたものだ。
投げキッスを模したポーズがきゅんと来る。
「ほお~、めっちゃ可愛い彼女じゃん!」
樹が気配に気付いて振り返ると、背後から昇太と忠士がのぞき込んでいるではないか。
「『しおりん』か。ほほ~ん」
「な!何だお前ら!いつの間に!?」
「隙だらけだぞ。いや、好きだらけかな?」
「彼女にぞっこんすぎて油断してたお前が悪い」
樹は顔を赤らめて、慌ててスマホをポケットにしまった。
「いや~ん樹ちゃんたら~」
「あんな可愛い子が、お前に良いようにされてるとは、けしからん!」
昇太が力を込めて悔しそうに言った。
忠士もふざけながら身体をくねらせた。
思ったより酒が回っているのかもしれない。
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