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そんな二人に、樹は興奮気味に言う。
「オレの彼女なんだぞ」
「分かっとるわ!」
「彼女のことは、ホントに大事にしたいから……からかうのはよしてくれ」
昇太と忠士は黙ったまま、樹を見つめて立っている。
樹は酔っているのだろうか。
いや、今までに一度もそんな姿を見たことはない。
かなり酒に強いからだ。
なのに、顔を赤らめてのこの発言は何なんだ。
「あああ~~!!むずむずする!!おい忠士、オレの身体に毛虫が付いてないか見てくれ!」
「オレにも付いてないか!?ていうか早く帰れ!帰ってやれ!家でお前を待ってるんだろ!?」
二人は身体をかきむしる仕草のあと、樹の背中や肩をバシバシ叩きながら見送った。
いつもと変わらない後ろ姿の筈なのに、どことなく柔らかいオーラに包まれているように見えた。
「あ~あ、オレも結婚したい」
昇太がボソッと呟いた言葉に、忠士が反応する。
「お前の場合はまず、彼女を作ることからだろ?」
「そうだけど」
苦笑いをしている昇太。
「樹がすんなり結婚するとは思わなかったなぁ」
「しかも、年下の彼女と!」
「そう!それ!」
肩を落としている昇太ではあったが、友達の幸せはやはり嬉しいものだ。
結婚式の二次会では、何かサプライズ的なお祝いをしようかという話を忠士としながら店をあとにした。
「樹の言葉とか態度からさぁ、めっちゃ彼女のこと好きなんだなぁって伝わってきたよなぁ」
「うん。あんな樹見たの初めてだし、初々しくてむず痒かった」
お互いの顔を見たあと、昇太と忠士の二人ははははと笑い合った。
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