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「忠士ん家は、子供ちゃんどうよ」
昇太の問いかけに、料理をむしゃむしゃ頬張りながら忠士が話し始めた。
「うん。感情表現が豊かすぎて結構大変だけど、成長過程が楽しみすぎて可愛すぎる。うちの息子最高だよ」
高校時代からの三人組で、何かやらかす時は大体このメンバーだった。
ノリの良い昇太と忠士、そして冷静な樹。
この構図は昔から変わらないものだった。
忠士がスマホを取り出し、写真アプリを開く。
こちらを見て笑っている赤ちゃんが映っている。
少し成長して手を叩いている動画もあった。
とても無邪気で、見ていてほっこりさせられていると、樹がぽそっと呟いた。
「可愛い。子供いいなぁ、オレも欲しいな」
その言葉を聞いた二人はパッと顔を上げた。
あまりこの手の話題に反応することが少ないのに珍しかったからだ。
「え、え!え?樹ちゃんが子供に興味?」
「ダメかよ」
昇太が目を丸くして身を乗り出してきた。
「いやぁ、今までそんなことあったかなぁって」
「別にいいじゃん」
しれっと答える樹。
「ていうか、樹はどうなんだ」
昇太から不意に話を振られ、樹は二人の視線を浴びながらジョッキをテーブルに置いた。
酒が回りすっかり赤くなっている二人に対し、顔色一つ変わらない樹。
三人の中で、一番酒に強いのだ。
だが、少しだけ下を向き、そのあと顔を上げ、目を逸らして少し頬を赤らめたかと思うと口を開いた。
「あー……えっと」
『特に何も変わらない』という反応が返ってくるかと思いきや、違うようだ。
昇太と忠士は、そんな樹に急に注目をした。
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