君に恋する青い月【特別編の番外編⑥】樹の結婚報告会

4/13
前へ
/13ページ
次へ
「えっ、何?何なわけ?」 「樹が照れてる!」  昇太と忠士は、握った拳を樹の方へと向けて、まるでインタビュアーにでもなったかのようなポーズを取った。 「樹さん!近況をひとこと!」 「――結婚する」  樹の口から放たれた言葉。  三人の周りだけ店内のざわめきが聞こえなくなった。 「え?」  昇太と忠士は、二人して次の言葉を失っている状態だ。  これではインタビュアー失格だ。 「結婚することにしたんだ。つき合ってる彼女と」  樹の頬が赤いのは、明らかに酒のせいではない。  酒に強い樹が頬を赤らめるなんて滅多にない。 「え―――――――――っ!?」 「うそだろ――――――――――っ!!」  昇太と忠士は目を丸くして叫んだ。 「何だよ、そんな驚くことかよ」  困った顔をして樹は言ったが、しかし無理はない。 「だだだって、お前今まで結婚なんて考えられないとかずっと言ってて」 「結婚しなくちゃつき合っちゃいけないのかとかも言ってた!」 「一人の時間は貴重だからとか何とか」 「彼女とたまに会えたらそれで良いとか言って草食系を装ってた!」  昇太と忠士はあたふたしながらお互いわきゃわきゃ騒いでいる。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加