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「えっ、何?何なわけ?」
「樹が照れてる!」
昇太と忠士は、握った拳を樹の方へと向けて、まるでインタビュアーにでもなったかのようなポーズを取った。
「樹さん!近況をひとこと!」
「――結婚する」
樹の口から放たれた言葉。
三人の周りだけ店内のざわめきが聞こえなくなった。
「え?」
昇太と忠士は、二人して次の言葉を失っている状態だ。
これではインタビュアー失格だ。
「結婚することにしたんだ。つき合ってる彼女と」
樹の頬が赤いのは、明らかに酒のせいではない。
酒に強い樹が頬を赤らめるなんて滅多にない。
「え―――――――――っ!?」
「うそだろ――――――――――っ!!」
昇太と忠士は目を丸くして叫んだ。
「何だよ、そんな驚くことかよ」
困った顔をして樹は言ったが、しかし無理はない。
「だだだって、お前今まで結婚なんて考えられないとかずっと言ってて」
「結婚しなくちゃつき合っちゃいけないのかとかも言ってた!」
「一人の時間は貴重だからとか何とか」
「彼女とたまに会えたらそれで良いとか言って草食系を装ってた!」
昇太と忠士はあたふたしながらお互いわきゃわきゃ騒いでいる。
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