君に恋する青い月【特別編の番外編⑥】樹の結婚報告会

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「痛ぇな!何すんだよ!オレはホンモノだ!」  樹は少しムッとした顔を見せた。 「は、ハタチって、学生か?働いてんの?」 「働いてるよ。接客業してる」 「それ何?同業者なわけ?!どこで出逢ったんだよ、そんな若い子と!」  昇太は興味津々で鼻息荒く質問を続けてくる。 「同業者じゃなくて、ちょっとしたトラブルで助けてやったのがきっかけ」 「えええーっ!?」  いちいち反応が大袈裟である。 「行き倒れてたから」 「そんな子、道に落ちてねーだろ!普通」 「別に、落ちてたわけじゃないし!」  興奮気味に質問は続いていく。  昇太が叫んだ。 「どんな子なんだよ、オレも困ってる女の子助けたい!写真持ってないのか?」 「写真かぁ」  樹は、言われてスマホを取り出し指先で操作し始めて、そしてやめた。 「え?なんで見せてくれないんだよ」  樹のスマホの中に保存してある『しおりんフォルダ』の写真は、彼女が樹宛に自撮りして送ってきたものがほとんどだ。  ということは、樹のためだけに撮ってくれた樹専用の写真ということになる。  最高に可愛い瞬間を収めようと頑張ったものに違いない。  それを、易々と他人に見せて良いものだろうか。  可愛い写真に違いないので見せたいのはやまやまなのだが。  そこまでを数秒の間に樹は考え、スマホはポケットに再び戻されてしまったのだった。
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