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「お前らに見せるのがもったいない」
目を逸らして顔を赤らめる樹。
先ほどから何度照れているのだろう。
しかし、本人は気が付いていないらしい。
すると、昇太と忠士はヒソヒソ話を始めた。
「(可愛くないのかな)」
「(だから見せたくないのかな)」
ヒソヒソ言っているわりには樹にまる聞こえだ。
「お前ら失礼だな!」
怒った顔で樹が言ったあとに昇太が続けた。
「じゃぁ写真見せろよ」
「嫌だ」
樹は反発を続けている。
「減るもんじゃなし」
「お前らに見せたら減る」
「くっそー!何だよー!」
「じゃぁさ、どこに惚れたんだ?教えろ」
悔しがる昇太と、負けじとインタビューを続けようとする忠士。
樹はその勢いに半分圧倒されている。
「どこって……どこだろ」
「性格が良いとか?めっちゃスタイルが良い、色っぽいとか、何かあるんだろ?」
「ああ、性格は良いよ。他は……う~ん、一緒にいて面白いし楽しい」
「一緒にいて面白い!楽しい!!」
「料理が上手で」
「料理が上手!!」
樹が言葉を発するたびに、二人が後を追うように同じ事を繰り返す。
リピートアフターミーの状態である。
「相性がいいのかな」
「えっ!相性がいい!?って、どういう意味だ!?」
身を乗り出してきて聞く昇太と忠士に、樹は仰け反っている。
「相性は相性だろ。一緒にいることに違和感を感じない。これがすべてだ」
照れながらも樹はずばっと言い切った。
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