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「でもさぁ、お前。これから先一緒に暮らし始めたら、大丈夫か?一人の時間が貴重で云々ていうのは」
「だよな、部屋にさえ絶対呼ばなかっただろ?他人を入れたくないとか言って」
「過去のことだろ?だって、もう一緒に住んでるし」
「えええええ!?一緒に住んでる―――――――っ!?」
樹が何か言うたびに大声を出す二人。
「ででででも、お前、仕事が夜遅いじゃん?それで彼女の方は良いわけ?色んな意味で」
「だよな、彼女とすれ違いになんないわけ?」
心配そうにこちらを向く瞳を見つめ返し、樹は言う。
「オレもそれは理解してるつもり。オレと違って普通の時間で働いてるしな」
一緒に暮らしていく中でもしそういうことで問題が出てきたとしても、出来るだけ寄り添うつもりでいるらしい。
「それに、別に完全にすれ違いでもないぞ?今日は彼女が休みで、ここに来る前は一緒に過ごしてたし」
そうなのだ。
朝から二人の時間はたっぷりとれて、チャージは十分出来ているらしい。
「お前、変わったね。案外家庭的なのかもな」
「うん、一匹狼って感じだったけどな」
そうかな、と照れながら、樹は鯛の刺身を口に入れた。
表情はクールだが、幸せそうなオーラがふんわりとにじみ出ている。
昇太と忠士は顔を見合わせたあと、言った。
「おめでとう、樹」
「うん、おめでとう。結婚式呼んでくれな」
「ありがとう」
三人は、もう一度ジョッキをカチンと鳴らして乾杯をした。
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